コラム

ジェフ・ベゾス2


私は過去参加した講演会で薦められた本を20年以上アマゾンで購入してきたが、一番びっくりしたのは、新刊と同時に古本が新刊より激安で売られはじめたことだ。これについてはアマゾン内部でも相当に話し合われたらしいが、ベゾスの決定で実施された。顧客という視点での究極の一つの形であり、これにより多くの信頼を得られたと思われる。

また本を選ぶと、その本を選んだ他の購入者がどういうものを他に購入していたかという案内がでる。これも利用することが多い。つまり消費者にとっての便利さを徹底して追及しているのがアマゾンなのだ。

丁度この文章を書いているときにベゾスが7月5日付けでアマゾンのCEOを退任し、7月20日に宇宙船で宇宙旅行に行くと発表された。実はベゾスの子供の頃からの夢は宇宙で、ベゾスはそのための資金をねん出するためにアマゾンを作ったともいわれている。アマゾンの急成長とは別にひっそりとブルーオリジンという宇宙への輸送費用の低減と宇宙飛行の安全性を高めることを目的とした航空宇宙企業を作ってきたのだ。

日本でもホリエモンの宇宙ビジネスやゾゾタウンの創業者前澤友作が今年の12月に宇宙旅行をする予定など宇宙への関心が強くなってきている。考えてみれば宇宙は人類最後のフロンティアであり、人類の未来がかかっているかもしれない。ベゾスは宇宙に人間が住む街を作りたいようだが、そうなると人類の他の星への移住という新しいステージが広がることになる。人類の新大航海時代が始まるのだ。

このように夢のある宇宙ビジネスに対しては当然にイーロンマスクもスペースXという企業を作り参戦している。マスクは今年の5月に民間で初めて国際宇宙ステーションへの有人飛行を実現させた。また2030年までに火星に基地を開設すると表明している。世界の金持ちトップ2は、まるで地球が丸いと知られていない大航海時代のように個人の巨額の資金をつぎ込みながら、宇宙の新しい景色、資源などを地球にもたらしそうだ。人間はあらゆるものに知的興味を持ち、危ないといわれることに挑戦してきた。日本の国に蔓延する安定志向と違い、世界は未来へ挑戦している。将来の日本はどうなるのか本当に心配だ。安定した貧しい国にならないようにして欲しい。

渕上コラム「変える言葉」